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2024/05/14

接骨院、整骨院の不正請求対策

注意:本コラムでは「整骨院」と「接骨院」の言葉を使用していますが、これらは同じ意味を持つ言葉として扱われます。どちらの言葉も同じ施術や治療を指すものとしてご理解ください。
 
注意:情報については一部変更されている場合もありますので、必ず該当する関係各所にご確認ください。
 
 

接骨院や整骨院の不正請求は、保険制度の信頼性を揺るがす重大な問題です。本記事では、接骨院や整骨院で行われる不正請求の実態とその背景、さらに国の取り組みについて詳しく解説します。

是非、参考にしてください。

 

 

整骨院・接骨院の不正請求の実態とは

整骨院や接骨院における不正請求は、多岐にわたる方法で行われています。以下では、その代表的な手法を詳述します。

 

施術箇所の改ざん

不正請求の一つの方法として、実際に施術を行った箇所を改ざんする手法があります。例えば、肩の施術を行ったにもかかわらず、腰や膝の施術として請求するケースです。これにより、保険適用外の施術を保険適用に見せかけることが可能となります。施術箇所を改ざんすることは、実際には患者様にとって必要な治療を行ったものの、それが保険適用外であるために行われることが多いです。こうした行為は患者様の健康を考えるとともに、経済的な利益を追求する結果とも言えます。しかし、このような不正行為が横行することで、保険制度全体の信頼性が低下し、他の患者様にも不利益を与える可能性があります。

 

部位の入れ替え

部位の入れ替えも不正請求の一般的な手法です。実際には施術を行っていない部位を施術したことにして請求することで、保険料の不正受給が行われます。このような不正は、患者様の無知につけ込んで行われることが多いです。例えば、患者様が肩の治療を受けたにもかかわらず、膝の治療として請求が行われることがあります。このような不正行為が発覚した場合、保険金の返還だけでなく、施術者には厳しい罰則が科せられることがあります。さらに、患者様が自らの治療内容を詳しく把握していない場合、このような不正が見過ごされるリスクが高まります。従って、患者様自身が自分の治療記録を確認し、不審な点があれば速やかに報告することが重要です。

 

来院回数の水増し

患者様が来院した回数を実際よりも多く記録し、保険請求を行う方法もあります。例えば、実際には月に4回の来院であったとしても、8回に水増しすることで、不正に保険金を受け取ることができます。このような不正行為は、患者様が来院記録を詳細に確認しないことに起因する場合が多いです。施術者が不正に回数を水増しすることで、保険金の受給額を増やすことができるため、経済的な動機が強く働きます。しかし、このような行為が発覚した場合、保険金の返還はもちろんのこと、施術者は法的な処罰を受ける可能性があります。また、患者様自身も知らずに不正に関与する形となり、後々トラブルに巻き込まれるリスクがあります。

 

診療内容の操作

診療内容を操作することで、不正請求が行われるケースもあります。例えば、軽度の捻挫を重度の捻挫と偽り、高額な保険請求を行うことが挙げられます。これにより、実際の施術費用よりも多くの保険金を受け取ることが可能となります。診療内容の操作は、施術者が意図的に診断を誇張することで行われることが多いです。このような不正行為は、患者様の症状が実際よりも重篤であると偽ることで、保険金の請求額を増やすことを目的としています。しかし、このような行為が発覚した場合、保険金の返還とともに、施術者には厳しい罰則が科せられることが一般的です。患者様自身も、自分の症状について正確に把握し、不審な点があれば医師や保険者に相談することが重要です。

 

整骨院・接骨院における不正請求の背景

整骨院や接骨院が不正請求に手を染める背景には、複数の要因があります。その一部を以下に示します。

 

保険の適用範囲を超えた施術が必要

多くの患者様が保険の適用範囲を超えた施術を求めることがあります。これに応じるために、施術者は保険請求の範囲内で施術を行ったことにして、不正請求を行うことがあります。患者様の治療ニーズが多様化する中で、保険適用外の治療が必要とされることが増えています。しかし、これをそのまま保険適用として請求することは違法です。このような背景には、患者様が保険外の治療費を負担することを避けたいという要望や、施術者が顧客を失いたくないという経済的なプレッシャーが存在します。不正請求を防ぐためには、患者様が適正な治療費を理解し、保険適用範囲を超えた施術についても納得して支払う姿勢が求められます。

 

競争の激化

整骨院・接骨院業界の競争が激化する中で、経営を維持するために不正請求に走るケースも少なくありません。特に、顧客を獲得するために低料金で施術を提供し、その差額を不正請求で埋め合わせる手法が見られます。業界内の競争が激化することで、経営者はコスト削減と収益確保のプレッシャーにさらされます。その結果、不正請求を行うことで収益を維持しようとする施術者が増えています。このような状況は、患者様にも影響を及ぼし、低料金の施術が提供される一方で、実際には不正な請求が行われていることが多いです。患者様は、施術料金が異常に低い場合にはその背景を疑い、適正な治療を受けるための意識を持つことが重要です。

 

保険診療の厳格化による影響

保険診療の厳格化により、施術内容が制限されることで、収益が圧迫されることがあります。これに対抗するために、不正請求が行われることがあります。保険診療の厳格化により、施術者は限られた範囲内でしか保険請求を行うことができなくなります。これにより、施術内容が制限され、収益が減少することで、不正請求を行う動機が強まります。例えば、保険適用外の治療を行った場合でも、保険適用内の治療として請求することで、収益を確保しようとすることがあります。このような不正行為が発覚した場合、保険金の返還とともに、施術者には厳しい罰則が科せられることが一般的です。患者様自身も、自分の症状について正確に把握し、不審な点があれば医師や保険者に相談することが重要です。

 

柔道整復療養費の減少の影響

柔道整復療養費の減少も、不正請求を誘発する要因の一つです。療養費が減少する中で、施術者が収益を維持するために不正に手を染めるケースが増えています。柔道整復療養費の減少は、施術者の収益に直接影響を及ぼします。療養費が減少することで、施術者は経営の圧迫を受け、不正請求を行う動機が強まります。例えば、患者様の治療内容を誇張することで、高額な保険請求を行うことがあります。このような不正行為が発覚した場合、保険金の返還とともに、施術者には厳しい罰則が科せられることが一般的です。患者様自身も、自分の症状について正確に把握し、不審な点があれば医師や保険者に相談することが重要です。

 

接骨院・整骨院の不正請求の厳罰化とは

不正請求が発覚した場合、施術者には厳しい罰則が科せられます。以下では、その具体的な措置について説明します。

 

受領委任払い制度の不正利用

不正が発覚した場合、施術者には厳しい罰則が科せられるだけでなく、受領委任払い制度の取り扱いを中止されることがあります。これにより、施術者は直接保険金を受け取ることができなくなり、経営に大きな打撃を受けることになります。患者様にとっても、信頼できる施術者を選ぶことが重要であり、不正を見逃さないための意識が求められます。

 

接骨院・整骨院の不正請求が発覚する仕組み

不正請求は、さまざまな方法で発覚します。以下では、その具体的な仕組みを解説します。

 

不正請求の発覚メカニズム:患者様情報提供

患者様自身が不正請求に気づき、保険者に情報を提供することで発覚するケースがあります。患者様の自己申告が不正請求の発覚に重要な役割を果たします。不正請求が発覚する最も一般的な方法の一つが、患者様自身の情報提供です。患者様が自身の治療内容と保険請求の内容が一致しないことに気づいた場合、保険者に通報することで不正が明るみに出ます。患者様が自らの治療記録を詳細に確認し、不審な点があれば速やかに報告することが重要です。また、患者様が治療内容について詳しく把握することで、不正請求を未然に防ぐことも可能です。このため、患者様は自分の治療内容を正確に記録し、不審な点があれば医師や保険者に相談することが求められます。

 

不正請求の発覚メカニズム:従業員内部告発

従業員が内部告発を行うことで、不正請求が発覚することもあります。内部告発は、不正の発見において非常に有効な手段です。従業員が内部告発を行うことで、不正請求が発覚することが少なくありません。従業員は日常的に施術内容や保険請求の内容に触れるため、不正行為に気づく機会が多いです。内部告発が行われることで、不正請求が明るみに出るだけでなく、施術者や経営者に対して厳しい罰則が科せられることがあります。内部告発を行った従業員に対しては、保護制度が設けられており、不正を告発することで報復を受けることがないように配慮されています。このため、従業員は安心して内部告発を行うことができます。

 

接骨院・整骨院の不正請求に対する国の取り組み

国もまた、不正請求に対してさまざまな取り組みを行っています。以下では、その具体策を紹介します。

 

国の対応策:受領委任取り扱いの中止や免許取り消し

不正が発覚した場合、再発防止のための厳格な処分が科せられます。国は不正請求に対して厳しい態度をとっており、受領委任取り扱いの中止や免許取り消しといった厳しい措置が講じられることがあります。これにより、不正行為の再発を防止するとともに、保険制度の信頼性を維持することが目的とされています。また、患者様に対しても、不正請求を未然に防ぐための啓発活動が行われており、適正な保険利用が促進されています。

 

国の対応策:長期通院時の料金減額

長期通院時の料金減額は、不正請求を防ぐための効果的な手段の一つです。通院回数が増えるほど料金が減額されることで、施術者が不正に通院回数を水増しするインセンティブが低減されます。このような制度は、患者様の負担軽減にもつながり、経済的なメリットを享受することができます。

 

国の対応策:多部位請求時の給付率低下

多部位請求時の給付率低下も、不正請求を防ぐための一環として実施されています。複数の部位に対する請求が行われた場合、給付率が低下することで、不正請求の動機を減少させます。多部位請求時の給付率低下は、不正請求を防ぐための重要な措置の一つです。複数の部位に対する請求が行われた場合、給付率が低下することで、施術者が不正に部位を水増しするインセンティブが低減されます。このような措置は、保険者にとっても不正請求のリスクを軽減し、健全な保険運営を維持するために重要です。患者様にとっても、適正な治療を受けるための重要な仕組みであり、施術内容について詳しく把握することが求められます。

 

まとめ

整骨院・接骨院の不正請求は、多様な手法で行われており、その背景には保険診療の厳格化や競争の激化などの要因が存在します。不正請求に対する国の取り組みも進んでおり、受領委任取り扱いの中止や免許取り消し、長期通院時の料金減額、多部位請求時の給付率低下などの対策が講じられています。患者様自身も、自分の治療内容を正確に把握し、不審な点があれば速やかに報告することで、不正請求の撲滅に協力することが重要です。