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注意:本コラムでは「整骨院」と「接骨院」の言葉を使用していますが、これらは同じ意味を持つ言葉として扱われます。どちらの言葉も同じ施術や治療を指すものとしてご理解ください。
また、情報については一部変更されている場合もありますので、必ず該当する関係各所にご確認ください。
なぜ15坪で悩む?接骨院開業の「広さ問題」の本当のところ
接骨院の開業を考えているあなた、きっと「15坪って本当に大丈夫なのかな?」って不安に思っていませんか?実は私も開業前は同じことで悩んでいました。
15坪は本当に狭いのか?業界データで見る現実
結論から言うと、15坪は決して狭すぎることはありません。なぜなら、全国50,919か所の接骨院のうち、小規模院が圧倒的多数を占めているからです。
最新の統計データによると、1院あたりの柔道整復師数は平均1.5人となっており、多くの院が小規模運営していることがわかります。つまり、15坪での開業は決して特別なことではなく、むしろ一般的な選択肢なのです。
参考:全国接骨師協会「県別施術所数」https://www.zenjukyo.gr.jp/news/kenbetu-sejutushosu/
先輩院長たちが感じた「15坪の壁」と乗り越えた方法
ただし、15坪での開業には確かに課題もあります。先輩院長たちからよく聞くのは次のような悩みです:
・「患者さんのプライバシーを守りながら、複数の治療を同時に行うのが難しい」
・「待合室を作ると治療スペースがさらに狭くなってしまう」
・「将来的に拡張したくても、最初のレイアウトが制約になってしまう」
でも安心してください。これらの課題は、適切な設計で十分に解決できるんです。
15坪接骨院レイアウトの基本原則|患者動線と収益効率の両立
15坪の空間を最大限活用するには、明確な設計原則が必要です。私の経験から導き出した、成功する院に共通する法則をお伝えしましょう。
黄金比率で決める「治療エリア7:その他3」の法則
15坪(約50㎡)のうち、治療エリアに7割、その他のスペースに3割を配分するのが、収益と患者満足度を両立させる黄金比率です。
具体的には:
・治療エリア:35㎡(約10.5坪)
・待合・受付・その他:15㎡(約4.5坪)
この比率なら、ベッド2~3台を効率的に配置でき、1日30人の患者さんにも対応できます。
1日30人対応を可能にする動線設計のコツ
患者さんの流れをスムーズにするため、以下の動線を意識しましょう:
1.入口→受付→待合→治療→会計→出口の一方通行
2.待合から治療室への移動距離は3m以内
3.スタッフの移動距離を最小限に抑える配置
これにより、1人あたりの施術時間を効率化でき、現在の業界平均である1院あたり年間療養費収入618万円を上回る収益も期待できます。
参考:e-shugi「柔道整復師等の施術に係る療養費について」https://e-shugi.jp/contents1/0123_20220425/
プライバシー確保とオープン感の絶妙なバランス
15坪という限られた空間でも、可動式パーティションを活用することで、治療時のプライバシーを確保できます。最新のトレンドとして、可動式の仕切りを使った柔軟なレイアウト設計が注目されています。
参考:みらいろスペース「整骨院・接骨院の内装デザインのポイント」https://mirairo.space/column/detail/20250305111513/
【実例公開】15坪で月売上150万円を実現したレイアウト3パターン
実際に成功している15坪接骨院の具体的なレイアウトをご紹介します。どのパターンも実際の開業事例に基づいています。
パターンA:ベッド3台型|安定収益重視プラン
配置内容:
・治療ベッド3台(各2m×1m)
・待合席6席
・受付カウンター
・更衣室1室
収益実績: 月平均患者数450人、客単価3,300円で月売上148万円を達成した東京都内の事例があります。
このレイアウトの最大のメリットは、安定した患者数を確保しやすいことです。保険診療中心でも十分な収益が見込めます。
パターンB:ベッド2台+個室型|単価向上プラン
配置内容:
・治療ベッド2台(オープン)
・個室1室(自費メニュー用)
・待合席4席
・物販スペース
収益実績: 月平均患者数300人、客単価5,000円で月売上150万円を実現。自費メニューの比率が高く、利益率も向上しています。
このパターンは、高単価の自費メニューを展開したい先生におすすめです。
参考:船井総研「接骨院経営実態レポート」https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/jy-chiropractic_S032
パターンC:多機能型|将来拡張対応プラン
配置内容:
・治療ベッド2台
・多目的スペース(トレーニング・指導用)
・待合席4席
・拡張可能な設計
このレイアウトは将来の事業拡大を見据えた設計で、段階的な成長が可能です。
15坪レイアウトで絶対に避けるべき5つのNG設計
失敗しないために、よくある設計ミスをお伝えします。
入口から治療ベッドが丸見えの「恥ずかしい院」
入口の位置と治療ベッドの配置には細心の注意が必要です。特に女性患者さんのプライバシーを考慮し、入口から直接治療の様子が見えない配置にしましょう。
待合室を削りすぎた「立ち患者続出」問題
効率を重視するあまり待合室を削りすぎると、混雑時に患者さんが立って待つことになります。最低でも4席は確保したいところです。
収納不足で「散らかった印象」を与える配置
治療器具や書類の収納スペースが不足すると、院内が散らかって見えてしまいます。収納スペースは全体の15%以上確保することをお勧めします。
参考:全国医療.com「接骨院開業で失敗する原因ワースト4とは?」https://zenkoku-iryo.com/column/opening/businessfailure
15坪を最大活用する設備配置の優先順位
限られた予算の中で、何を優先すべきかお伝えします。
絶対必要な設備TOP5と配置のポイント
1.治療ベッド:最優先。2台は必須
2.低周波治療器:保険診療の要
3.受付システム:電子カルテ対応がおすすめ
4.エアコン:患者さんの快適性確保
5.照明設備:明るく清潔な印象作り
現在、オンライン予約や電子カルテ、療養費オンライン請求が標準化しつつあります。2025年からは療養費請求のオンライン化が本格的に始まるため、IT機器への投資も重要です。
参考:リハサク「療養費請求のオンライン化について」https://rehasaku.net/media/online-claim/3743/
予算に余裕があれば追加したい設備3選
・牽引装置:差別化につながる
・可動式パーティション:プライバシー確保
・空気清浄機:感染症対策
将来の機器導入を見据えた「拡張余地」の作り方
電源の配置や配管工事を最初から考慮しておくことで、後から設備を追加する際のコストを大幅に削減できます。
成功する15坪接骨院の経営数値とレイアウトの関係
レイアウトと収益の関係を数値で見てみましょう。
ベッド数別の売上シミュレーション
2台の場合:
・1日20人×単価3,500円×25日=月売上175万円
・年間売上:2,100万円
3台の場合:
・1日30人×単価3,200円×25日=月売上240万円
・年間売上:2,880万円
ただし、業界平均の1院あたり年間療養費収入が618万円という現実も考慮し、現実的な目標設定をお勧めします。
効率的なレイアウトがもたらす時間短縮効果
適切な動線設計により、1人あたりの施術時間を15分短縮できれば、1日4人多く診療できます。これだけで月売上が35万円向上する計算になります。
【チェックリスト】15坪接骨院レイアウト設計の確認項目
今すぐできること: □ 治療エリア7割、その他3割の配分確認 □ 入口から治療ベッドが見えない配置 □ 患者動線の一方通行設計 □ 最低4席の待合席確保
じっくり検討すること: □ 将来の拡張可能性 □ IT機器導入の計画 □ 自費メニュー展開の検討 □ 収納スペースの十分な確保
15坪でも理想の接骨院は作れる|まずは専門家に相談を
15坪という空間は、適切な設計により十分に魅力的な接骨院を作ることができます。現在の市場規模は9,850億円と大きく、まだまだ成長の余地があります。
参考:CINC Capital「接骨院業界のM&A動向」https://cinc-capital.co.jp/column/industry/osteopathic-clinic-ma
ただし、成功の鍵は正しい知識と適切なサポートです。開業に関する疑問や不安がある方は、経験豊富な専門家に相談することをお勧めします。
アイワ接骨師会では、200院以上の開業支援実績を持つ専門チームが、あなたの15坪レイアウト設計から経営アドバイスまで、開業成功のためのトータルサポートを提供しています。
まずは無料相談で、あなたの理想の接骨院について相談してみませんか?きっと、15坪での開業に対する不安が期待に変わるはずです。
参考データ出典:
・厚生労働省「柔道整復師等の施術に係る療養費の取扱いについて」
・全国接骨師協会「接骨師等施術所数統計」
・船井総研「接骨院経営実態調査2024」
※記事の内容は、編集・執筆当時のものですので、現在の情報と異なる場合があります。